【船舶投資型】クラウドファンディングの新形態

目次

船舶投資型クラウドファンディング

船舶投資型クラウドファンディングとは?

船舶投資型クラウドファンディングは、支援者から集めた出資金をもとに、船舶を担保とした船会社向けのアセットファイナンスです。

「マリタイムバンク」が日本初の船舶投資型クラウドファンディングを開始しました。
https://nmb.co.jp/

従来は、金融機関が行う「船舶ファイナンス」に変わって、クラウドファンディングで資金を集めて運用する形式です。

アセットファイナンス
・保有している資産(不動産や工場の機械など)を担保に行う貸出

船会社に融資を行うってどういうこと?

通常、金融機関が「船舶ファイナンス」として行っていますので、まずはそちらの説明します。

金融機関が行う「船舶ファイナンス」

金融機関の場合、船を製造するところから関与することが多いです。

主に傭船者(次の項目で説明)の事業(コンテナ等荷物を運ぶ)に伴い、造船所(今治市に多い)で船を作ります。

製造した船は海外(パナマ等)に当該船を運用するためだけの子会社(SPC)を作り、引き渡します。

下記の図で言うと、海外SPCがオーナー(船主)となり、オペレーター(傭船者)から船を貸し出す賃料をもらって、金融機関に返済を行います。

但し、金額が数十億(時には百億円以上)にもなるため、金融機関も傭船料のみで完済まで何十年も融資するというよりは、途中で借り換えを行ったり、中古市場で売却しオーナー(船主)の実質的親会社が切り替わることを前提としています。

オーナー(船主)とオペレーター(傭船者)

船会社と言っても2パターンあります。

オーナー:船主のことで、実質的に船を保有している会社
オペレーター:傭船者のことで、貨物運送の事業を行っており、船を動かしている会社

オペレーターは日本の大手企業で言うと、「日本郵船」、「商船三井」、「川崎汽船」の3社です。

日本の商船隊を見ると実は、オペレーターが船を持っているのは全体の45%程度で、日本の船会社(オーナーの海外子会社)が約34.6%や海外の船会社が20.6%の船を保有しています。

日本の船会社(オーナーの海外子会社)は、実際に船を作った造船業者が海外のSPCに持たせているケースが多く、今治造船グループを除けば、中堅企業が多いのが実態です。

また、先ほどの通り、海外子会社(海外SPC)に持たせているケースが多いので、日本商船隊の9割近くは実は外国籍船になります。

日本海事センター SHIPPING NOW 2021-2022[データ編]

資金が必要なのはオーナーである船主

つまり、資金が必要なのは、船会社でも船を所有しているオーナー(船主)です。

かつ、オペレーターやその海外子会社が保有している船は資金繰りもそんなに問題がないと考えられます。

となると、船舶投資型クラウドファンディングの対象になりやすいのは以下の2つです。

・日本の船会社(オーナーの海外子会社)
・海外の船会社

リスクへの見解

個人的な見解ではありますが、以下の点についてはリスク認識が必要かと考えます。

船会社特有のリスクであり、海上保険や傭船料の契約がどうなっているのか確認した方がいいかもしれません。(変動であったり、交渉による変更可能性がある場合は留意)

  • 船会社の事故の可能性
    ⇒2020年のWAKASHIOがモーリシャス島沖で座礁し、燃料油が流出した事故がありました
  • 傭船料は景気に左右されやすい
    ⇒船の種類(ここでは説明を省きます)に寄りますが、ご参考に
     日本郵船HP:https://www.nyk.com/ir/financial/shipping/
  • 傭船料は基本的にドル建てのため為替リスクあり

まとめ

  • 日本初の船舶投資型クラウドファンディング。
  • 日本の船会社(オーナーの海外子会社)、海外の船会社が対象になると考えられるが、前者のオーナーは造船会社の中堅企業である可能性もある。
  • 船会社特有のリスクがあり、海上保険や傭船料の契約がどうなっているのか確認した方がいい。(変動であったり、交渉による変更可能性がある場合は留意)
  • 一方で、船舶に対して1万円から投資できる機会はこれまでなく、貸付型や不動産投資型と合わせて、分散投資の一環として検討してみることはいいのかもしれません。

ブログにおける記事及び情報の掲載は、投資に関連する一般的な情報提供のみを目的としたものであり、有価証券その他の金融商品の取引の勧誘を目的としたものではありません。

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